掲載日:平成24年06月21日
質問
私は夫と30年間夫婦として生活をしてきましたが、婚姻届は出していなく、いわゆる内縁関係にあります。夫には私との間も含めて子どもはいませんが、夫の父は健在です。このような場合、私は夫の相続人になれるのでしょうか?
回答
相続開始により、被相続人の財産を誰がどのくらい相続するかは、まず、遺言によって決まります。しかし、この遺言がない場合は、民法が一定のルールを規定しています。民法によると、「配偶者」は常に相続人になると規定されています。それでは、ここでいう「配偶者」とはなんでしょうか?
配偶者とは婚姻届を提出していて、法律上婚姻関係にある者のことを指します。つまり、内縁関係(事実婚)の場合はここでいう配偶者にはあたりません。よって、内縁の妻は相続人ではないことになります。
そこで、このような関係にある場合には、遺言を残してもらうことをおすすめします。遺留分を侵害しない範囲で、内縁の妻に遺贈するという遺言を残しておけば、残された内縁の妻は、以後の生活の不安を解消できます。
今回のケースの場合、内縁の夫のお父様がご健在ということですが、万が一、お父様がお亡くなりになっていた場合、相続人がいなくなります。
この場合、原則として相続財産は国庫に帰属することになりますが、その前に、被相続人との関係において、一定の条件を充たすものについては、「特別縁故者」として、相続財産が分与される制度があり、内縁関係の場合は、この特別縁故者に当たる場合があります。これが認められるためには家庭裁判所の許可が必要になります。
この情報は2012年6月21日時点の情報を元に執筆されています。最新の情報とは異なる場合もございますので、あらかじめご了承ください。