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掲載日:平成27年9月分
前回のNo.50「空き家対策特別措置法について」でもご紹介したように、深刻化する空き家問題への対策として、平成27年5月「空き家対策特別措置法」が施行されました。では、実際に空き家をどのように扱って行けば良いのか?空き家を解消するための具体的な方法にはどのようなものがあるのか?そういった疑問・不安に対して、国土交通省は「空き家を活用するための知恵袋」を作成しています。
今回は、税金とは少し離れて「空き家を活用するための知恵袋」をご紹介します。
まず「知恵袋」では、空き家の現状から発生する様々な不安への解決策を例示しています。
ポイントは、プロの活用、定期借家、借主がリフォームする契約の3つに絞られて紹介されていますが、中でも3つ目の「借主がリフォームする契約」に注目したいと思います。
従来の契約形態では、貸主となる個人住宅の所有者が、費用を負担してリフォームを行うことになっています。 こうした契約形態では、借主は住む家を改装できない、改装が許されたとしても退去時に元に戻す義務があるといったことから、自分の好みの改装をしたくてもできないという課題がありました。 そこで登場したのが、「借主負担DIY型」と呼ばれている新しい契約形態です。基本的な考え方は、家賃を相場より低く設定し、その浮いた分の費用で借主がリフォームやDIYによる改装をできるようにし、 改装した部分は元に戻す必要がない(手を加えた状態のままで退去)というものです。
「知恵袋」では貸主と借主の双方のメリットして、次のようなものを挙げています。
貸主のメリット | 借主のメリット |
---|---|
現状のままの状態で貸すことが可能となる | 持ち家のように自分の好みにできる |
借主が長期間住んでくれる可能性がある | 持ち家のように自分の好みにできる |
退去時には貸出時よりも価値が上がる可能性がある | 退去時に原状回復費用を取られない |
「借主負担DIY型」には、不具合なく住める状態のものを賃貸する「現状有姿型」と、故障や不具合など修繕を要する箇所がある「一部要修繕型」があります。 「一部要修繕型」の場合は、貸主が修繕をしない代わりに、家賃はさらに引き下げて設定し、借主が自身で修繕をしてから住むか、不具合を承知でそのまま住むかを選べるというスタイルになっています。
空き家に対する取り組みは、官民ともに徐々に増えてきています。こうした「知恵袋」のように、官が提供する情報や制度などを活用し、今後の対策を考えることも有効ではないでしょうか?
この情報は2015年9月時点の情報を元に執筆されています。最新の情報とは異なる場合もございますので、あらかじめご了承ください。